2017-07-04

一行解決。

人が来なくて困っている会社がありました。
どこにでもあるようなふつうの会社で、
特にこれといった「ウリ」もない。
だから求人広告を出しても、ちっとも電話が鳴らないし、
興味を持ってもらえなかったそうです。

ふつうならどうするでしょうね。
例えば時給をアップしたり、福利厚生が充実しているよとか、
完全週休二日ですよとかいう働き方をアピールするか、
無理やりにでも会社のいいところを探して、
こんな「やりがい」がありますよとかを宣伝するはずです。
世の中の99%の会社は、現にそうしています。

ところが、件の会社はなんともすごい妙案で、
この募集をしても全然人が来ない問題を解決しました。
求人広告や求人ページに、たった一言こう書いたのです。

「会社でネコを飼っています。」

それで、応募者がなんと10倍にもなりました。
ぼくはこの話を人づてに聞いて、驚きとともに、
うれしい悔しさのようなものがありました。
それは、ずるいよ、いやあ、すごいよ、です。

実際にネコは本当に会社にいるようで、
嘘でもなんでもなく、むしろ当たり前にいるので
だれも気にしていなかったのだと思います。
でもだれかが、そこに「価値」を発見しました。
これこそが、クリエイティブではないかしらん。

クリエイティブというと、無から有を生み出す。
ゼロからイチをつくる、といったイメージがありますが、
すでにある価値に気づくことのほうが、
実は重要で、かつ、できていない場合は多いものです。

ぼくらの人生の資源は限られています。
お金だったり、時間だったり、技術だったり情報だったり。
人脈とかコネクションとかもそうかもしれません。
でもこれらの資源は、ぼくらがどれを、なにを、
価値のあるもの(資源)と捉えるかによって変動します。
増えも減りもします。

じぶんにとってはなんでもないこと
(例えばネコを飼っているとか)でも、
他の人にとってはすごくいい価値になりえます。
おもしろいですよね。
いやあ、コピーライターとして、すごく勉強になりました。
ことばの力って、あらためてすごいぞと。
だって、10倍ですよ。
ふつうなら、10倍のお金を遣わないとできないことを、
たった一行で実現したんですから。
求人広告における名コピーだと思います。

ことばは人に夢を見せます。体を浮かせて、空も飛べる。

イデトモタカ